役員の決め方

株式会社を設立する際には、役員(取締役、監査役等)を誰にするかを決めなくてはなりません。

役員を何人にするかについては、定款に定めることによってそれぞれの会社の規模や実態、将来目指す方向性に即した形態を採用することができます。

たとえば、代表者が1人だけの会社であれば取締役は1人でも構わないですし、将来会社を大きくして上場させたいというような目標があるのであれば、最初から取締役会や監査役を設置しても良いでしょう。取締役会を設置する場合には、取締役が3人以上必要となります。

取締役は、株主に代わって会社経営の責任者として会社業務に従事する役割がありますから、この人選はとても大切です。

 

なお、株式会社では「取締役」とともに必ず「株主総会」が設置されます。株主総会は株主で構成されるその会社の最高意思決定機関になります。取締役会を設置している場合には、取締役会で決議する事項、株主総会で決議する事項と決議機関を分けることができますが、取締役会を設置しない場合には、すべての決議事項を株主総会にて行うこととなりますので株主総会の権限がとても強くなります。株主が身内の親族だけであれば株主総会の権限が強くでも構わないですが、株主に身内の親族以外の者がいる場合には、株主総会の権限が強すぎる場合に不都合が生じることがあります。この場合には取締役会の設置をするかどうかを検討してみましょう。

 

(役員構成の例)

(1)取締役1人のみ・・・1人会社において一般的な形です(主に株主=取締役の場合)。

(2)取締役2人以上 + 監査役(任意)・・・家族(夫婦など)で会社を立ち上げた場合やご友人やビジネスパートナーと立ち上げた場合などに用いられる形です。なお、取締役が3人以上であっても取締役会を設置しなくても構いません。また取締役会の設置がなくても監査役を置くことができます。

(3)取締役会(取締役3人以上) + 監査役(必置)・・・株主の数が多い、対外的な信用度を重視したい場合などに用いられる形です。

 

ここでご留意いただきたい点があります。

それは、友人同士で会社を設立してビジネスを始める場合です。この場合には、おそらく(2)や(3)による役員構成となると思いますが、友人同士で始める場合にはメリットとデメリットが共存していることを念頭にしっかりとおいて進めていただきたいところです。

 

メリットとしては、それぞれの長所・強みを生かして相乗効果が発揮できる、それぞれの負担を分担することができるなどが挙げられますが、デメリットとしては、経営を続けていくとお互いの会社の目指す方向性や理念にズレが生じてしまい意見がぶつかり、場合によっては別の道を歩むことになってしまう可能性があることです。

 

私も今まで見てきた会社の中で、友人や同僚と共同経営という形でともに出資し取締役として開業した会社をいくつか見てきましたが、現在もしっかりとタッグを組んで事業を進めている会社と、不幸にも袂を分かつこととなってしまった会社とありました。

 

こればっかりはいざ始めてみないとわからないところでもあります。そして、共同経営という形でビジネスを始めるケースがあり、始めることによる効果も捨てがたいところがあるでしょう。

 

そこでもし友人とビジネスを始める場合には、以下の点に注意していただければと思います。

 

1.出資比率について

株式会社は、上記にも書きましたが、意思決定機関として株主総会を設置しますが、その決議は株主による過半数の同意によるものが多く、中には2/3以上の同意が必要なものもあります。

そこで、たとえば友人2人で会社を設立し、出資割合が50%ずつだったらどうでしょうか。

この場合には、2人とも同意しなければ過半数や2/3以上の同意とならないため、意見が異なってしまった場合には決議をすることができないこととなってしまいます。

そこで、会社設立の際には、その点についてしっかりと話し合い、どちらかができれば2/3以上、最低でも過半数以上を出資する形を取るようにしましょう。

 

2.役員任期について

役員の任期は、原則取締役が2年、監査役が4年ですが、譲渡制限会社(すべての株式に譲渡制限規定:会社が承認した場合のみ株式の譲渡を認める規定 を設けている株式会社)の場合には、いずれも任期を10年まで延ばすことができます。

しかし、友人と会社を設立しともに役員として共同経営者となった場合には、やはり最悪のシナリオ(お互いの意見が合わなくなってしまうなど)を想定し、任期は短くしておいた方がよいと思います。任期の途中でも株主総会の決議(出席株主の過半数の同意)によって取締役の解任をすることができますが、正当な理由がない場合には、残りの任期の期間に係る役員報酬相当額の損害賠償を請求される可能性があります。

そこで、まずは原則の2年任期でスタートしてみることをお勧めします。

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