本店所在地の決め方

会社を設立する際には、本店所在地をどこにするかを決める必要があります。

そこで、実際に会社を設立する場合に考えられる本店所在地の場所を検討しながら、メリット・デメリット、そして注意点を考えてみたいと思います。

 

本店とは、会社法第4条では「会社の住所はその本店の所在地にあるものとする」と規定されており、会社としての公的な住所となる場所を言います。

その情報は、設立の際に作成する定款にも記載されますし、会社の登記簿謄本にも記載されることとなりますから、本店所在地がどこの会社なのかは、登記簿謄本を取得することによって誰でも調べることができます。本店所在地は1つの会社につき1ヶ所になります。

そして、原則的には本店所在地が法人税の納税地となり、法人税の申告は本店所在地を所轄する税務署に提出することとなります。

 

本店所在地は日本国内であればどこでもかまいません。そして本店所在地と実際に設立する会社の事業活動の場所が違っていたとしても問題ありません。ただし、安易に本店所在地を決めてしまうと、本店を変える必要が出た場合に本店移転に関する登記変更手続きを行う必要があり費用が3万円~6万円かかってしまいます。ですから、どこでもかまわないのですが、できる限り動かす必要がないように決めたいものです。

では、具体的に考えられる本店所在地の場所ごとにそのメリット・デメリットや注意点を見ていきましょう。

 

(1)自宅を本店とする場合

自宅で開業する場合には、自宅を本店とされることが多いでしょう。

自宅を本店とする場合、持ち家であれば問題なく本店とすることができると思いますが、賃貸物件のときには注意が必要です。というのも、大家との賃貸借契約上では「居住用」としての契約のはずですので、先々契約違反等でトラブルにならないように本店登記を行う前に大家に了承を得ておくことが大切です。もし了承を得ることが難しい場合には、(3)の方法を検討するなど、別の場所を本店とする方向で検討してみましょう。

 

なお、自宅開業でない方でも自宅(持ち家)を本店とする方もいらっしゃいます。

それは、会社設立にあたって事務所を借りたけれども、その事務所が手狭になった等の理由により事務所を移転することとなった場合に、その度に本店移転の登記を行う必要があるため、それを避けるために自宅(持ち家)を本店とするようなケースです。

 

この場合、本店である自宅と借りた事務所 と2か所で事業を行っているかのように見えるため、それが市区町村をまたがっていたりするとそれぞれに地方税を納めなくてはならないのか?などといった疑問もありますが、地方税はあくまでも事業実態のある場所での課税となりますので、このケースでは地方税は借りた事務所の所在する場所において申告・納税することとなります。

 

(2)会社設立にあたって借りた事務所を本店とする場合

借りた事務所を本店とする場合には、(1)の賃貸物件の注意点と同様のことが言えます。借りた事務所を本店とするということは、実際には会社設立前に個人名で賃貸借契約を結び、会社設立後に法人名義に変更する などといった方法がとられます。そこで、個人名で契約した時点で設立する会社の本店にしたい旨をしっかりと事前に大家に伝えておくことが必要でしょう。

そして、(1)で触れたように事務所が手狭になった等の理由により引っ越しが必要となったときには、その都度移転登記が必要となってしまうことに注意が必要です。

 

(3)レンタルオフィスやバーチャルオフィスを本店とする場合

自宅や借りた事務所を本店としたくない(もしくはできない)場合によく使われているのが、レンタルオフィスやバーチャルオフィスです。

レンタルオフィスはSOHOオフィスなどと呼ばれていますが、元々業務に必要となる椅子や机、コピー機、会議室などの設備が整っているオフィスの一部(個室やパーテーションなどで仕切られた専用ブース)を賃借できるオフィスのことを言います。コピー機や会議室などは使用量によって課金される場合が多いですが、起業にあたり初期投資を抑えることができる、賃料に比し好立地の物件を借りることができるといったメリットがあります。

バーチャルオフィスとは、レンタルオフィスとの違いとして個室や専用ブースを提供せず、スペース利用の必要があった際には、その都度空きスペースを賃借する といった違いがあるようです。

個室や専用ブースがなかったとしても、電話転送や郵便物の転送もされることからそのニーズはありレンタルオフィスよりも低コストというメリットがあります。

ただし、注意点としてバーチャルオフィスを本店としている会社では、銀行口座が作りにくいというデメリットがあるようです。実際に事業実態がなかったとしても、低コストでバーチャルオフィスを本店とした会社を設立できてしまうことから、その会社の信用性に疑問が生じやすいのかもしれません。元々個人事業を行っていた等で事業実態がしっかりとあり法人成りで会社を設立した等であれば問題ないようですが、銀行側の審査が厳しくなっているようなので、バーチャルオフィスを本店とする設立を検討される際には、前もって口座開設をしたい銀行に確認しておいた方がよいと思います。

 

 

その他の留意点としては、会社設立後に加入する社会保険や、定款や登記簿謄本への住所の記載についてが挙げられます。

 

社会保険へ加入する際には、原則的に事業実態のある場所を管轄する年金事務所にて手続きを行うこととなります。

とくにバーチャルオフィスを本店としている場合には、その本店の場所を管轄する年金事務所ではなく、実際に事業を行っている事務所所在地を管轄する年金事務所での手続きとなりますのでご注意ください(年金事務所によって取扱いが異なる場合があります)。

 

また、本店所在地の定款への記載ですが、最小行政区画(例:東京都立川市)までの記載で問題ありません。最小行政区画にしておけば、たとえば立川市内で本店を移転したとしても定款の変更手続きは必要ありません。ただし、立川市外に移転する場合には変更手続きが必要となります。

そして、登記する際の住所ですが、○丁目○番○号 までの記載は必要となりますが、ビル名や部屋番号まではなくても問題ありません。

貸主側の都合によりビル名が変わってしまったということが以前実際にありましたし、同じビル内で移転をすることもあるかもしれません。ビル名や部屋番号まで記載してしまうと、このような場合にも移転の登記が必要となってしまいますので、登記住所には入れない方が良いでしょう。

 

以上、本店所在地を決める際のメリット・デメリット、留意点等を見てきましたが、本店所在地ごとにそれぞれ気をつけなくてはならないことがあります。

設立後に後悔することのない様、設立前によく吟味して決めていただければと思います。

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